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特別寄稿:隠れたアニメーション大国カナダ 成功を生みだしたクリエイティブ支援
隠れたアニメーション大国カナダ 成功を生みだしたクリエイティブ支援

数土直志(アニメ!アニメ!編集長、アニメ産業アナリスト)

アニメーション映画というと、一般にはハリウッドメジャースタジオの大作映画や日本のテレビアニメシリーズを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、昨今の世界のアニメーションの状況に詳しい人ならば、近年そうした見方が大きく変わり始めているのに気づいているに違いない。
伝統的に良質のアニメーション映画を作り続けてきたヨーロッパ各国では、共同製作の増加と伴にその動きがますます活発になっている。アジアでは韓国、台湾といった国々が、CGアニメーションを中心に力を増している。中国やインドといった国々も、アニメーションの文化振興と産業育成に力を入れる。アニメーションの世界は、国際政治や経済と同様に多極化の時代に突入したようだ。

そうした多極化したアニメーションの世界で、カナダ・アニメーションが重要な核のひとつになっていることは見逃せない。特にCGアニメーションの世界では、その存在感が顕著だ。何しろCGアニメーション制作に必須の「Maya」や「Softimage」をはじめ、その制作ソフトの多くはカナダで開発されているのだから。そしてUBISOFTやエレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)といったCGアニメーションを売りにしたゲーム開発の巨大スタジオもまたカナダに多い。
商業用テレビアニメーションでの成功も見落とせない。米国の子供向けチャンネルで放映されているカートゥーンと呼ばれるアニメーションは、カナダのプロダクションが制作しているケースが少なくない。ネルバナ(Nelvana Studios)やクッキー・ジャー・エンタテインメント(Cookie Jar Entertainment)といった世界でも有数のアニメーション制作会社がカナダに本社を持つ。

こうしたカナダのアニメーション産業の成功は、自然に生まれたものではない。カナダ政府はマルチメディア(文化)産業として、アニメーションやCG、ゲーム産業を重点的に強化してきた。こうした努力の結果が、現在の業界の盛況につながっている。
しかし、ここで忘れていけないのは、テクノロジーやビジネスへの支援だけが、産業を発展させたわけではないことだ。アニメーションのように人々の感性や感情に訴えるものは、作品の内容、質こそがより重要である。創造する力があってこそ、産業も技術も発展する。

実はカナダ・アニメーションは、こうした領域でも長年の実績がある。カナダ・アニメーション成功のもう一つの側面、クリエイティビティを支えたのがカナダ国立映画制作庁(NFB)である。1939年に設立されたNFBはカナダの映像文化を支えるべく、これまで何千もの映画を支援してきた。その中には数多くのアニメーションも含まれている。
芸術性を追求することの多いNFBのアニメーションには、一見はとっつきにくい作品も少なくない。しかし、ひとつひとつの作品を観ると、常ならぬ映像の中に、新しい表現の鍵が潜んでいることが分かるだろう。様々な映像の可能性の宝庫であることに気づくに違いない。
いつの時代にもエンタテイメントの成功は、これまでと違った表現やアイディアに求められる。カナダ・アニメーションの成功は、こうした長年の多様なアニメーション表現のうえに初めて築かれたものである。そしてNFBは、映像・アニメーションの分野において、70年間にもわたってそのアイディアの実験の場を提供し続けた価値ある存在だ。

 クリエイティビティと産業テクノロジーとバランスよく成長するカナダ・アニメーションは、世界各国のアニメーション関係者にひとつの成功モデルを提示する。コンテンツ産業の成功は、クリエイターと作品のクリエイティビティ、そしてビジネスと技術の双方への支援によって初めて成り立つのだと。
 それは近年アニメーション産業育成に力を入れはじめた日本にとっても同様だ。国内のアニメーション振興の関心は、時としてアニメと呼ばれる商業作品に向いがちだ。しかし、短編アニメーションや芸術性の高い作品もまた、産業や技術の発展と結びついている。カナダのNFBの歴史を見ることは、日本にとても価値あることだ。
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テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術

[2009/09/04 01:58] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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